雨が多い梅雨は、ジメジメしてとても過ごしにくい季節です。そして実のところ、梅雨は壁紙(クロス)の不調が発生しやすい時期でもあることをご存じでしょうか? トラブルを放置すると生活に悪影響をもたらすこともあるので、早めに張り替えなどの対応を取ることが大切です。
ここでは、梅雨時に壁紙の不調が発生しやすい理由や、トラブルを防ぐためにおすすめの機能性壁紙について解説します。
■梅雨は壁紙クロスの不調が起きやすい季節
梅雨時に壁紙の不調が発生しやすい理由は「湿気」です。梅雨は湿度が高くジメジメしており、それが壁紙にも悪影響を与えます。よく発生する壁紙のトラブルは以下の2つです。
・壁紙が浮く
梅雨時期になると、壁紙に浮きが生じる現象がよく起こります。これは、壁紙が下地のボードやベニヤに十分に接着されていない箇所がある場合に、そこが湿気によって膨らんでしまうのです。天気がよくなって湿度が下がると元に戻ります。
特に浮きが生じやすいのは、ボードやベニヤの継ぎ目部分です。継ぎ目は段差が出ないようにパテを塗って平らにすることが多く、パテ部分は壁紙が接着しにくい場合があります。そこが梅雨時になると浮き上がってしまうわけです。決して施工ミスや手抜き工事ではなく、工事の段階では浮きが生じるかどうか判断しにくいのが厄介な点です。
もし壁紙が一時的に浮いても、そこから剥がれてしまうことはないので、基本的には放置しても問題ありません。ただし、気になる場合は専用の注射器を使い、壁紙の浮いた箇所にクロス糊を再注入し、ローラーで圧着するという対処法があります。これは比較的簡単な作業であり、施工業者に連絡すれば対応してもらえるでしょう。
ただし、壁紙の浮きが生じた場所を事前にマークしておく必要があります。湿気がなくなると浮きが元に戻るため、業者が来た際に場所がわからなくなる可能性があるからです。
・壁紙にカビが生える
梅雨時によく起きるトラブルといえば、やはりカビです。カビは湿気を好み、温度が20℃〜35℃、湿度が60%以上の環境で繁殖しやすい性質があります。特に湿度が80%以上になると、急速に増殖します。日本の梅雨や夏は、暖かく湿度が高いため、カビにとって最適な環境なのです。
中でも壁紙は結露によって濡れてしまうため、カビが繁殖しやすい場所です。最近では、住宅の気密性が高くなったため、換気が不十分で湿気が外部に排出されにくいことも、カビの繁殖を引き起こす原因とされています。
カビは見た目が不快なだけでなく、その胞子を吸い込むことで健康にも悪影響を及ぼします。小さなお子様や高齢者、アレルギー体質の方がいるご家庭では、特に注意が必要です。
壁紙に生えたカビの対処法は、カビの程度によって異なります。壁紙の表面にうっすらとカビが見える程度なら、比較的症状は軽く、洗剤や防カビ剤を使って対処可能です。しかし、カビは見えない場所でも繁殖していることが多いため、カビが確認できる範囲だけでなく、壁全体に防カビ対策を施さなければならない場合があります。
もし、壁紙をめくった際に裏側までカビが繁殖していたり、下にあるボードやコンクリートにカビが広がっていたりした場合は、より大規模なカビ対策が必要です。具体的には、壁紙をすべて取り除く、ボードやコンクリートを洗浄・交換する、室内全体に防カビ対策を行う、防カビ処理済みの壁紙を貼るといった対処が必要になる可能性があります。
■湿気の原因はその壁紙=ビニールクロスかも!
日本の住宅では、一般的に「ビニールクロス」が壁や天井の仕上げ材として広く使用されています。ビニールクロスはその名の通り、ポリ塩化ビニール(PVC)やポリ塩化ビニリデン(PVDC)などのビニール(合成樹脂)でできている壁紙です。
ビニールクロスは、その装飾効果やメンテナンスのしやすさから人気があります。ほぼすべての住宅において、ビニールクロスが使われているといっても過言ではありません。しかし実は、このビニールクロスこそが湿気の原因になっている可能性があります。
なぜなら、ビニールクロスは湿気を吸収したり放出したりする性質を持っていないからです。木材や漆喰、珪藻土といった自然素材のように、空気中の水分を適度に吸収・放出することはできません。
そのため、内壁をビニールクロスで覆うと、まるでビニールハウスやタッパーの中にいるような状態となります。結果として室内に湿気がたまりやすくなり、カビの発生や壁紙の浮きといったトラブルを招いてしまうのです。
湿気による壁紙トラブルへの対処法としては、十分な換気や除湿器の使用、防カビ剤の定期的な塗布などが挙げられます。また、ビニールクロスを湿気に強い素材の壁紙に変更するのも非常に有効です。詳しくは次の項目で解説します。
■湿気に強いおすすめの機能性壁紙
梅雨の湿気対策として効果的なのが、さまざまな機能を備えた「機能性壁紙」です。機能性壁紙には湿気に強い性質を持つものがあり、ビニールクロスから張り替えると、梅雨でもジメジメしにくくトラブルが起きにくい部屋を作ることができます。おすすめの機能性壁紙3種類をご紹介します。
・通気性壁紙
通気性壁紙は、文字通り空気を通しやすい壁紙です。ビニールクロスは密閉型の構造であり、湿気や空気の通り道がほとんどありません。しかし、通気性壁紙は、表面に微細な空気の通り道が設けられています。ここから空気や湿気が逃げるので、室内に湿気がこもるのを防ぐことができるのです。
ただし、通気性壁紙自体に「吸湿性」はありません。そのため、通気性壁紙を使用する際には、壁紙の下地として調湿性のある石膏ボードを使うのがおすすめです。通気性壁紙を通った湿度の高い空気が石膏ボードによって吸湿されることで、部屋全体の湿度が調整され、快適な空間になります。
また、通気性壁紙のもう1つの特徴は、湿気だけでなく臭いも逃がすことができる点です。トイレ、玄関、クローゼットといった、湿気も臭いもこもりやすい場所には、通気性壁紙がとても適しています。
・吸放湿壁紙
吸放湿壁紙とは、湿度が高い時は空気中の水分を吸収し、逆に湿度が低い時には水分を放出するという「調湿性」を備えた壁紙です。壁紙自体が呼吸しているようなものだと考えるとわかりやすいでしょう。
その機能の秘密は、吸水性ポリマーという素材が使われている表面にあります。吸水性ポリマーは、大量の水分を吸収する性質を持っており、紙おむつや結露防止材などにも使用されています。これが水分を吸収したり放出したりしてくれるのです。
ただし、吸放湿壁紙には「通気性」はありません。そのため、下地にまでは空気が届かないのです。このような性質から吸放湿壁紙は、窓がない場所や窓をあまり開けない場所に適しています。寝室や窓のない洗面所、ウォークインクローゼット、サービスルームなどに使うと効果的です。また、下地に調湿性のある石膏ボードを使用している場合も、通気性壁紙を選んだ方がいいでしょう。
・珪藻土壁紙
珪藻土壁紙は、珪藻土の粉末を練り混ぜた素材を表面に塗り込んだ壁紙です。珪藻土とは、珪藻と呼ばれる藻類の化石が堆積してできた土のことです。
主成分はシリカ(二酸化ケイ素)であり、乾燥剤「シリカゲル」の原料としても知られています。また、お風呂場のマットとしても人気の素材です。このことからもわかるように、珪藻土は高い調湿性を持ち、湿気だけでなく臭いや化学物質も吸収してくれるため、建物の壁材として広く用いられてきました。
本来の珪藻土はいわゆる「塗り壁材」であり、壁に塗り上げて仕上げます。しかし、塗り壁の施工には高度な技術が必要で、熟練の左官職人でなければ高品質な施工はできません。珪藻土壁紙は、そんな珪藻土の施工の難しさや高いコストを解消した素材なのです。通常の壁紙と同じように施工でき、価格も塗り壁に比べて安価です。
ただし、珪藻土壁紙はあくまでも「珪藻土粉末を塗った壁紙」であるため、本格的な珪藻土の塗り壁に比べると調湿性は劣ります。さらに、珪藻土の質感を再現しているものの、調湿性能は高くない壁紙もあります。湿気対策を目的にする場合は、調湿機能を重視した壁紙を選ぶことが大切です。
■梅雨時に壁紙の張り替えはしない方がいいの?
梅雨時に壁紙の浮き上がりやカビの発生、そして部屋のジメッとした感じが気になり、「この機会に機能性壁紙にしようかな」と検討する方も多いでしょう。しかし、梅雨時に壁紙を張り替えると、壁紙の膨れやパテの乾燥の悪さといった問題が起こりがちです。そのため、「梅雨に壁紙を張り替えるのはやめた方がいい」という説もありますが、真相はどうなのでしょうか?
結論からいうと、梅雨に壁紙を張り替えることにあまり問題はありません。湿気が多いと糊の乾燥が遅くなるため、上記のような不調が発生するのは確かです。しかし、壁紙の膨れは乾燥すると取れてきますし、パテも時間が経過すれば乾きます。梅雨の湿気は一時的な不調を招くものの、それほど気にする必要はないといえるでしょう。
本当に問題なのは、夏の暑さによって糊の乾燥が早くなることです。糊の乾燥が早いと、壁紙を貼り付ける前に糊が乾いてしまい、接着が悪くなります。それに加え、壁紙の継ぎ目に隙間ができやすくなるので、どうしてもきれいに仕上がりにくくなってしまうのです。
この問題への対処法として、専門業者が夏場に壁紙を施工する時は、濃いめの糊を使用して乾燥を遅らせています。また、クーラーがあれば使用し、室内の温度調節を行います。こういった細かい配慮により、条件の悪い夏場でも高品質な施工ができるのです。
実際のところ、経験豊富でノウハウのある業者であれば、1年中どの季節でも問題なく壁紙を張り替えることができます。本当に重要なのは季節や部屋の環境ではなく、業者の選び方なのです。壁紙の張り替えをしたい時は、十分な実績があり高いスキルを身につけている専門業者に相談しましょう!
ぷらすホームには、どのようなニーズにも応えられるよう、幅広い知識を持つスタッフが在籍しています。社内は全員が職人上がりで、現場を熟知しているのが強みです。お客様1人1人としっかり向き合う姿勢を大切にし、的確な施工プランをご提案いたします。壁紙の張り替えはもちろん、個人宅の小さなリフォームからマンションの原状回復工事まで、どんなことでもお気軽にご相談ください。
施工事例はこちらからご確認ください。
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