リフォームやリノベーションで、空間の印象をがらりと変えてくれるのが、壁クロス。
ただしひと口に壁クロスといってもその種類は実にさまざまで、理想とするリフォームや物件の状況にあった壁クロスを適切に選ばなければなりません。
ところで、壁クロスの商品を見ていると、「1000番」という用語がしばしば登場します。
この「1000番」というのは、ハイグレードクロスのこと。
対してそれ以外のクロスを、スタンダードクロス(量産クロス)と言い、別名「500番クロス」とも呼ばれています。
今回は、「500番」の量産クロスと「1000番」のハイグレードクロスの違いについて、紹介します。
■壁クロスの素材は大きく分けて3種類
壁クロス、と検索すると膨大なクロスがヒットしますが、素材別に見ると、その特徴がつかみやすくなります。素材で分けると、種類は3つ。
まず一つが「ビニールクロス」です。
これは塩化ビニール樹脂などを主成分とするビニールシートに、紙などを裏打ちしたクロスのこと。表面加工でも分類ができ、たとえば、表面に凸凹のあるエンボス加工やプリントを施したものなどさまざまです。調湿性や防臭性、防汚性、光触媒など、機能を持たせたタイプも登場しています。
もう一つが「紙製クロス」。
主原料は紙で、パルプや和紙、再生紙など、さまざまなタイプの紙が使われています。施工に手間がかかるのがデメリットですが、壁紙を貼ったあとに塗装仕上げができるタイプもあり、壁紙を貼り替えずに模様替えができるメリットも。自然素材のぬくもりも魅力の一つです。
そして「織物クロス」。麻や綿など、糸と糸を織ってつくった織物や編物、不織布などを紙で裏打ちした壁紙のことです。織物独特のあたたかみやソフトな感触がありますが、ビニールクロスに比べるとコストはかなり高くなります。
この3種類のタイプのなかで、もっともよく使われるのが「ビニールクロス」。壁クロス=ビニールクロスと認識されているほど、クロス市場のなかでは大きな存在を占めており、通常、リフォームやリノベーションでの選択肢といえば、ビニールクロスになります。
そしてビニールクロスは、「500番」と「1000番」というカテゴリーに分けられています。
ところで、なぜ500番、1000番と呼ばれるのでしょう?
これは1平方メートルあたりの標準単価に基づいた名称。
1平方メートルあたりの値段が500円か、1000円か、という目安に基づいて命名されています。
■「500番」量産クロスの特徴とは?
500番クロスは、量産クロス。別名スタンダードクロスとも呼ばれています。
メリットは何と言っても大量生産ならではの価格の安さです。
クロスの厚みも総じて厚めで、下地材の跡や継ぎ目などが目立ちにくいため、リフォーム向け。あまり技術が高くない内装工が貼ってもそれなりの仕上がりになります。
デメリットとしては、1000番クロスに比べるとデザインや機能性の面で劣ることが挙げられます。
500番クロスは3色程度のインクしか使われていないので、色数の選択肢が少なく、柄模様もバリエーションがありません。
また、500番クロスに備わっている機能は防カビ性くらいで、一部、表面強化を備えたタイプがあるといった程度です。
■「1000番」ハイグレードクロスの特徴とは?
1000番クロスは、別名ハイグレードクロスとも呼ばれていますが、目が飛び出るようなお値段ではないのでご安心を。そもそもクロス自体が、ほかの壁材に比べて非常にお値打ちなのです。
1000番クロスのメリットは、多色のインクを用いているため色や模様のデザインが豊富なこと。
機能性にも富み、表面強化、消臭効果、汚れにくい性能を備えたものや、調湿機能をもつタイプなどが代表的です。さらにマイナスイオンを自然発生させることでリフレッシュ効果を謳ったタイプや、抗菌性やアレルギー抑制効果が期待できるものもあります。
デメリットとしては、技術の高い内装工でないと扱いが難しいということ。
クロスが比較的薄いので、下手な内装工ではうまく貼ることができず、場合によっては下地の継ぎ目が浮き出てしまうこともあります。
ちなみにクロスの厚みは性能には関係ありません。皆さんが日常的に使っている紙もそうですが、厚みがあるもののほうが、製造がかんたんで、薄いもののほうが高級品とされているのです。
ちょっと話は逸れてしまいましたが、デザイン性や機能性にこだわるのなら、1000番クロスのほうがおすすめです。その場合は、きちんとした技術をもつ施工実績の豊富な内装業者に依頼をしましょう。
■リフォーム・リノベーションにおすすめのクロスとは?
実物サンプルを触ったりつまんでみて、「薄すぎる」「ツルツル」「のっぺり」しているクロスは、リフォーム・リノベーションでは避けたほうがよいでしょう。
クロスはシールと同じく、めくった時に裏紙が残る様に出来ています。リフォームで前のクロスの裏紙がすべてきれいに残っていれば、下地に継ぎ目や凹凸が出ないので施工はかんたんですが、10年以上貼り替えをしていなかったり、また逆に何度も貼り替えをしている物件ですと、裏紙がムラになって残ってしまい、新しく貼るクロスの仕上がりに影響を及ぼします。
ですので、下地の状況が良くなければ、厚みのある500番クロスのほうがおすすめです。
もちろん、下地の状態に難があっても、腕の良い内装工なら凹凸を調整することは不可能ではありません。また1000番クロスにも、リフォーム向きの厚みを備えたタイプも登場しています。
■500番クロス、1000番クロス、どうやって選べばいい?
①コスト重視なら500番クロス
とにかくコストを安く抑えたいという方は、安価な500番クロスを選ぶとよいでしょう。
しかし実際、500番クロスというのはほぼホワイトで、色の種類は数パターン程度。柄のバリエーションも少ないので、自分の気に入った空間にしたい、という場合は物足りなく感じることでしょう。
②コストとデザイン、両方希望をかなえたい場合は?
デザインにはこだわりたいけれども予算がちょっと……という場合は、500番クロスをメインに使って、玄関やリビングの一部の壁に、アクセントウォールとして1000番クロスを使うという手もあります。予算を抑えながら、効果的なビジュアルを演出できます。
③暮らしを快適にするのなら、メインの空間には1000番クロスを
このように1000番クロスをアクセントとして使う方法はありますが、せっかく消臭効果や防汚効果、調湿効果や抗菌・アレルギー抑制効果をもつ1000番クロスを、家の出入り時にしか目にすることのない玄関や、リビングの1面だけに使う、というのはもったいないですよね。
せっかくなら、暮らしを快適にしてくれる機能を備えた1000番クロスは、1日のなかでもっとも長い時間を過ごすリビング・ダイニング、あるいは1日のうちの約3分の1を過ごす寝室などに使うと、健やかな空間になります。
また500番クロスはホワイトが中心ですが、ひと口にホワイトといっても、本来は実にさまざまな色合いがあるもの。しかし500番クロスはそのバリエーションも多くありません。自然光が入ったり、夕方や夜になって照明を点けた時、のっぺりしたフラットな白だと、安っぽい店舗のなかにいるようで、家時間が味気なくなってしまいます。
1000番クロスですと、ホワイトでもほんのわずかにベージュを帯びてあたたかみのある色合いなど、バリエーションが豊富。
また模様も繊細なタイプを選べば、白い面でもベタッと無味乾燥な感じにはならず、優しく包まれているような感覚を得られます。
■1000番クロスを選びたいけれども、価格が気になる……ただしビニールクロスはもともとがお値打ちな素材なのです!
1000番クロスの良さは分かったけれども、やっぱり500番クロスとの価格差が気になる、というのはもっともな話です。
クロスの貼り替えを壁と天井にするのなら、必要な面積は床面積のおよそ3.6倍と言われています。したがって仮に60平方メートルの床面積のマンションなら、216平方メートルにクロスを貼ることになります。
これが500番クロスなら、クロス代だけで10万8000円に。
1000番クロスなら、クロス代だけで21万6000円という計算になります。
(※500円、1000円というのは、あくまで量産クロスとハイグレードクロスを区分するための目安で、実際の金額は色や柄、性能によってさまざまです。また材料費に施工費や下地処理代などが加わります)
ただし、そもそもビニールクロス自体が、ほかの建材に比べて非常にリーズナブルなのです。
たとえばむくの木なら、樹種やグレードにもよりますが1平方メートルあたり1万円前後が目安。ウッドショックや円安で、最近はもっと高くなっている傾向があります。
タイルなら、1平方メートルの材料費だけで、5000円〜2万5000円と非常に高価。
漆喰や珪藻土のような左官材も、1平方メートルあたり4000円〜8000円が相場と言われており、現在はそれよりもやや高くなっています。
こうした素材と価格を比べると、ビニールクロスは非常に使いやすい素材なのです。
■迷った場合は技術力のある内装業者に相談を! 経験豊富なぷらすホームにお任せください!
量産クロスのほうがきれいに仕上がりやすい傾向がありますが、コンセプトによっては1000番クロスの使用も可能。このことを頭に入れて、理想の空間になるようにクロスを選んでみることをおすすめします。迷った場合は、臆せずプロに相談を。
町田市を拠点とするぷらすホームは、町田市や相模原市、八王子市でリフォームを手掛けており、団地やマンションでの原状回復工事の実績が多く、クロスの貼り替えのスピード・技術には定評があります!
お打ち合わせでは、イメージしやすいようにサンプルも大きなサイズのものをお見せすることも可能ですので、どうぞお気軽にご相談ください。
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