家の運気を良くしたいと考えたとき、多くの人は日当たりの良いリビングや、家の顔である玄関を思い浮かべるかもしれません。しかし、古くから伝わる風水の考え方では、実は「トイレ」こそが、住む人の運気を左右する非常に重要な場所だとされています。
なぜなら、トイレは私たちの体から出た不要なものを洗い流す「厄落とし」の役割を担う場所だからです。そして、常に水が溜まり、流れていくその性質から、健康運や金運といった、暮らしに深く関わる運気に大きな影響を与えると考えられています。毎日必ず使う場所だからこそ、その空間の「気」の流れを整えることが、家全体の良い運気を保つことにつながるのです。
では、どうすればトイレの運気を良くすることができるのでしょうか。その鍵を握るのが「色」の持つ力です。色は、空間の印象をがらりと変えるだけでなく、気の流れを整え、私たちの心にも働きかける不思議な力を持っています。ご自宅のトイレは、今どんな色で彩られているでしょうか。風水の知恵は、決して難しい決まりごとではありません。心地よい空間をつくるための、先人たちが積み重ねてきた暮らしのヒントです。まずはトイレの色を見直すことから、運気を呼び込む空間づくりを始めてみませんか。
なぜトイレの色が重要?風水が教える「水」と「陰」の気の性質
「トイレに良い色」を知る前に、そもそもなぜ色がそれほどまでに重要視されるのか、その理由を少しだけ掘り下げてみましょう。風水の基本的な考え方を理解すると、色選びがもっと楽しく、そして納得のいくものになります。
トイレに溜まりやすい「水の気」と「悪い気」
風水では、この世界のすべてのものは「木・火・土・金・水(もっかどごんすい)」という5つの要素(五行)で成り立っていると考えます。トイレは、常に水を使い、溜めている場所であることから、この五行のうち「水の気」が極端に強い場所とされています。水には、汚れや厄を洗い流してくれる浄化の力がありますが、その一方で、流れが滞るとよどんでしまい、「陰の気」や「悪い気」を溜め込みやすいという性質も持っています。風水でトイレが「不浄の場所」や「厄落としの場所」と言われるのはこのためです。このよどんだ気が、住む人の健康や財産に良くない影響を与えてしまうと考えられているのです。
「色」の力で悪い気を中和する
そこで活躍するのが「色」の持つ力です。色にも五行の性質があり、それぞれの色が持つエネルギーを利用して、強すぎる水の気をコントロールし、空間の気のバランスを整えることができます。例えば、強すぎる水の勢いをせき止める力を持つ「土の気」(土は水を吸収し、流れをせき止めるため)の色を取り入れたり、水を吸って成長する「木の気」の色を使って、よどんだ気を吸い取ってもらったり、といった具合です。このように、色の力を借りてトイレに溜まりがちなマイナスのエネルギーを中和し、良い気が流れるように導くことが、風水における色選びの基本的な考え方になります。
目指すのは「明るく清潔な空間」
少し難しく聞こえたかもしれませんが、風水が最終的に目指しているトイレの姿は、とてもシンプルです。それは、誰もが本能的に心地よいと感じる「明るく、清潔で、換気の良い空間」に他なりません。例えば、白が清潔感を、グリーンが癒やしを与えてくれるように、色が人の心に与える影響も、風水の考え方と深く結びついています。つまり、運気を上げるための色選びとは、自分や家族が心から「気持ちいい」と思えるトイレをつくることなのです。
健康運・金運・対人運。高めたい運気別・おすすめカラーと理由
それでは、具体的にどのような色がトイレの運気を高めてくれるのでしょうか。ここでは、高めたい運気の目的別に、おすすめの色とその理由をご紹介します。壁紙や床といった広い面積だけでなく、トイレマットやタオルなどの小物で取り入れるだけでも効果が期待できますので、ぜひ参考にしてみてください。
心身の健康を願うなら「グリーン」や「アイボリー」
住む人の健康を司るトイレにおいて、最もおすすめしたいのが「木の気」を持つ色です。植物が水を吸ってすくすくと育つように、木の気はトイレの強すぎる水の気を吸収し、生命力あふれる良い気に変えてくれるとされています。具体的には、観葉植物を思わせる「グリーン」や「ライトグリーン」です。心身をリラックスさせる効果も期待でき、落ち着いた空間を演出します。また、ベースの色として最適なのが「アイボリー」や「オフホワイト」。清浄なイメージの白に、少しだけ温かみが加わったこれらの色は、空間を明るく見せ、気の流れを穏やかに整えてくれます。
金運アップを目指すなら「イエロー」や「ベージュ」
金運を高めたい場合には、「土の気」を持つ色が効果的です。土の気は、水の流れを穏やかにコントロールし、金運を生み出す土台をつくると考えられています。その代表的な色が「イエロー」です。風水で黄色は金運を象徴する色として知られています。ただし、あまりに鮮やかな黄色は落ち着かない印象を与えたり、逆にお金が出ていきやすくなったりするとも言われます。マットや小物などで、落ち着いたトーンの「パステルイエロー」や、土を連想させる「ベージュ」などを取り入れるのがおすすめです。
良好な人間関係を築きたいなら「ピンク」や「オレンジ」
家族関係を円満にしたい、良い出会いが欲しいといった、対人運や恋愛運のアップを願うなら、温かみのある暖色系を取り入れてみましょう。優しく穏やかな「ピンク」は、調和をもたらし、愛情運を高める色とされています。また、明るく陽気な「オレンジ」は、コミュニケーションを活発にし、良いご縁を引き寄せる力があると言われます。これらの色は、空間全体を明るくポジティブな雰囲気にしてくれます。派手になりすぎないよう、スリッパや小さな飾りなど、アクセントとして使うのが上手な取り入れ方です。
色の効果を最大化する。「明るさ」と「素材」の選び方
風水で運気を上げるための色選びについて見てきましたが、実はその効果をさらに高めるためには、色と合わせて考えたい大切な要素があります。それが「明るさ」と「素材」です。この二つを意識することで、トイレの空間はさらに心地よく、そして良い気の流れる場所へと変わっていきます。
「明るさ」はすべての基本
風水において、トイレに溜まりやすい「陰の気」を打ち消す最も効果的な方法は、空間を「明るく」保つことです。どんなに運気の良い色を選んでも、トイレ全体が薄暗い印象では、その効果は半減してしまいます。窓がないトイレの場合は特に、照明選びが重要になります。温かみのある電球色や、太陽光に近い昼白色の照明を選び、隅々まで光が届くようにしましょう。照明カバーや電球にホコリが溜まっていると明るさが落ちてしまうので、こまめに掃除することも大切です。明るい空間は、気の流れを活性化させるだけでなく、汚れを見つけやすくしてくれるため、自然と清潔な状態を保つことにもつながります。まさに、すべての基本となる要素と言えるでしょう。
「素材」で温かみと生命感をプラスする
色だけでなく、トイレに置くものの「素材」にも意識を向けてみましょう。特におすすめなのが、「木の気」を持つ自然素材です。例えば、木製の棚やペーパーホルダー、コットンやリネンといった天然素材のタオルやマットなどを取り入れることで、空間に温かみが生まれます。これらの自然素材は、トイレの強すぎる「水の気」を和らげ、気のバランスを整える手助けをしてくれます。また、生命感のある「観葉植物」を置くのも非常に効果的です。植物は悪い気を吸い、新鮮な良い気を生み出してくれる天然の空気清浄機のような存在。日陰に強いアイビーやポトスなどを小さな鉢で置くだけでも、空間が生き生きとしてくるのを感じられるはずです。プラスホームの家づくりでも大切にしている、こうした自然素材を活かした明るい空間は、人が本能的に心地よいと感じ、結果として運気を呼び込むことにもつながるのです。
これは避けたい。トイレの運気を下げるNGカラーと配色
良い運気を呼び込む色がある一方で、トイレで使う際には少し注意が必要な色も存在します。知らず知らずのうちに運気を下げてしまわないよう、避けるべき色とその理由についても知っておきましょう。もちろん、絶対にダメというわけではありません。もし好きな色が含まれていても、使い方を工夫すれば問題ありませんので、安心してください。
「黒」や「濃いグレー」の多用は注意
モダンでスタイリッシュな印象を与える黒や濃いグレーは、インテリアとして人気の色ですが、トイレで広範囲に使うのは風水的にはあまりおすすめできません。これらの色は「水の気」を象徴するため、もともと水の気が強いトイレに多用すると、その性質をさらに強めてしまい、気がよどんで冷え込みやすくなると言われています。健康運に影響が出やすいとも考えられているため、壁や床など広い面積で使うのは避け、小さな小物などでアクセントとして取り入れる程度に留めるのが賢明です。
「赤」はトイレと相性が悪い?
情熱的なイメージの「赤」は、「火の気」を持つ色です。風水の五行思想では、水と火は互いに反発し合う「相剋(そうこく)」の関係にあるとされています。そのため、水の気が強いトイレに火の気を持つ赤を取り入れると、気のバランスが乱れ、空間が不安定になりやすいと考えられています。イライラしやすくなったり、トラブルを招いたりする可能性も。もし赤が好きで取り入れたい場合は、原色の赤ではなく、少し落ち着いたトーンのものを選んだり、小さな面積でワンポイントとして楽しんだりするのが良いでしょう。
全体を「真っ白」にするのも避けた方が良い場合も
清潔感の象徴である「白」は、トイレのベースカラーとして非常に優秀です。しかし、壁も床も便器もすべてが光沢のある真っ白で統一されていると、空間が緊張感を持ち、落ち着かない場所になってしまうことがあります。また、風水では白は「金の気」に属し、清浄な力を持つ一方で、空間を冷やす性質もあるとされます。リラックスできる空間にするためには、アイボリーやオフホワイトといった少し黄みがかった白を選んだり、木製の小物や暖色系のタオルを合わせて温かみをプラスしたりする工夫が大切です。
風水は、心地よい暮らしを願う先人の知恵。あなたらしい空間づくりを
この記事では、風水の考え方を取り入れたトイレの色選びについて、運気アップにつながる色や、注意したい色をご紹介してきました。風水と聞くと、少し難しく感じたり、厳格なルールの集まりだと思ったりする方もいるかもしれません。しかし、その本質は、家族が健康で、毎日を快適に暮らすための環境を整えるという、とてもシンプルで普遍的な願いに基づいています。
トイレを清潔に保ち、明るく、そして心地よい色で彩る。そうすることで、その空間の「気」が整い、私たちの心にも良い影響を与えてくれる。風水は、そうした暮らしの知恵を、色や方角といった形で体系的に教えてくれるガイドのようなものです。大切なのは、ルールに縛られることではなく、その知恵をヒントにしながら、自分や家族が「気持ちいい」と感じられる空間を、楽しみながらつくっていくことではないでしょうか。
色選びを通じて、これまで以上にトイレという空間に愛着が湧き、清潔に保とうという意識が自然と高まる。それこそが、運気を呼び込むための最も確実な一歩なのかもしれません。
もし、風水の考えも取り入れながら、デザイン性の高い快適なトイレ空間を具体的に検討してみたい方は、専門家によるリフォーム相談会などでイメージを膨らませてみるのも一つの方法です。